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映画祭いち「映画もアートもその他もぜんぶ」な場所 元・立誠小学校は最終日も大にぎわい!

2016年10月16日(日) レポート

小学校だった元・立誠小学校では立誠プロジェクトで映画上映するほか、アート作品の展示、実際にトライできるワークションプなど「遊びと学び」を体験できるイベントが盛りだくさん。
最終日10月16日(日)も多くの方が“登校”し、さまざまなジャンルに触れ楽しく学んでいました。

オープン前から詰め掛けていた方々のお目当ては、朝11時からの蛭子能収さん似顔絵サイン会。
会場内では『えびすリアリズム』として、“漫画家・蛭子能収”ヒストリーの一端に触れることができる大型作品・漫画本の原画が並びます。ちょっとエロティックな作品を集めた「18禁部屋」もあります。
整理券は開始15分ほどで配布終了。
列の先頭は、「朝9時に来た」ラッパー・歩歩さん。マイマイク持参で描いてもらった似顔絵は、被っていたキャップの丸いツバもどこか角張っていて「帽子がキョンシーみたいでヤバい!」と、“蛭子フィルター”を通した自分の姿に大歓喜。
母子3人でいらしていた女性は「描いてもらったら、どんな化学変化が起きるのか」を楽しみに、前日に下見を、当日も朝9時に来場するほど熱烈なファン。
「わたしの顔が描くには難しいのか、『気に入らないな〜』って」と蛭子さんを困らせたようで申し訳なかったなと思いつつ「蛭子さんと言葉を交わし、コミュニケーションを取れてうれしい」と心満たされた表情です。
競艇ボート乗船スタイルに頬をゆるめる男性、ビキニ姿のセクシーな似顔絵に大照れの女性と、みなさん蛭子さんに描いてもらえる喜びでいっぱい。

午後には清水圭をMCに、漫画家・蛭子能収のプロフィールに迫るトークイベントを実施しました。
予定入場者数を越えるほどのお客さんを前に、蛭子能収さんの登場です。
校内にある『えびすリアリズム』を観に行ったか清水が尋ねるも薄い反応だっため「京都らしい奥ゆかしさですね」と例えました。が、蛭子さんは「いや、そうではない」と首を傾けながら少し悲しそうです。
そういう蛭子さんは、「どこに飾ってあるか、わかんないんですよ」と、マネージャーさんに指摘されるまで前日に展示会場を見たのもすっかり忘れていました。
大好きな麻雀の話の最中も、指先を動かすので「多分、アレ防止にもいいですね」と、どこかぼんやり発言。場内は、マイペースな蛭子ワールドにすっかり引き込まれていきます。
展示中の画も販売しているとのことで、「売っているんですけど、売れない」と訴える蛭子さん。「いや、近いうちに誰か見つけますよ」と清水は語気を強くして、海外から火の付いた伊藤若冲フィーバを例に独創性あふれる蛭子さんの画にもその可能性があると熱弁します。それを受けた蛭子さんは「アメリカにでも持って行こうかな」とまんざらでもなさそうな表情。
最後はお互いの似顔絵を描き合い交換、清水は「蛭子さんに描いてもらえるなんて!」と、いちファンの顔を見せていました。

「よしもと美術館」と題したスペースでは、アーティストのものに加えてイラストが得意な芸人たちの作品が集められています。芸人本人稼働のワークショップも実施。

見取り図・リリーが先生となり行った「リリーとお絵描き体験」では、オシャレ女子たちが出席。
リリーの「起立」の号令から開始、似顔絵のコツを伝授します。相方の盛山を例に「汚さがポイント」と特徴をつかむ重要性を説き、時折“生徒”にささやくように声を掛ける場面も。「MVPには盛山くんの電話番号下4桁を教えます!(リリー)」を目標に、先生をモチーフに15分で描き上げます。
いよいよリリー先生の品評の時です。仕上がったものをズラリ見回し「なかなか上手いですね〜」。生徒たちは合格点をもらえたようです。

まるむし商店・磯部が講師を務めたのは、「粘土とスマホでクレイアニメを作ろう!」。
「粘土が“動く”という面白さがある。アプリで簡単に作れます」という磯部は、今回の会場にも『自然のいとなみ』と題した映像作品(製作期間約3ヶ月のストップモーションアニメ)を出品しています。
参加者の方も粘土をこねて映像作りに挑戦です。
作って撮影、少し動かして撮影。気が遠くなりそうな作業ですが、「そうそう、ちょっとずつ」と見守りながら磯部は「根気が要るのでね。慣れたらすぐできますよ」と励まします。
次第におとなもこどもも指先に集中、我を忘れて夢中です。できあがった作品たちを目にした磯部は、手にあごを当てながら目を細め「よう、できてるな〜」と感心しきりでした。

講堂では、東山堂の『インタラクティブプロジェクションマッピング - 演武パフォーマンス』が。
居合いをたしなむ出演者による「武舞」を上演しました。最新技術を用いることで、日本古来の文化「武道」における覇気や情景を目に見えるものとして表現。光を落とした暗闇の中での刀さばきは一層の凄みを増し、思わず息を飲むほどです。
ステージの周りは、ハローキティコラボ仕様の剣道の防具、大人気アニメ『ONE PIECE』のキャラクター、ロロノア・ゾロ所有の刀を具現化したものが囲みます。
剣道具・防具、刀は海外では芸術品の域として評価されているけど、馴染み深いだけに日本ではそれほどまで注目度が高まらない現実があるのだそう。そういった向きに変化をと、伝統に現代要素をプラスしより多くの方に伝えるのが狙いです。

京都国際映画祭が掲げる「映画からアート、伝統工芸、新しいメディア、未来へと「つながる」映画祭」。
このコンセプトをより目で、体で感じられた元・立誠小学校内での1日でした。

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