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第3回三船敏郎賞は阿部寛さんが受賞!4日間にわたる「京都国際映画祭」を締めくくるクロージングセレモニー、華やかに開催

2016年10月16日(日) レポート

10月16日(日)、4日間にわたり開催された京都国際映画祭も、いよいよフィナーレ。
京都ホテルオークラではクロージングセレモニーが行われ、注目の三船敏郎賞の発表や、来賓の皆さんからのご挨拶、関係者によるさまざまな総括などがありました。

オープニングセレモニーや映画会場、アート展示などの様子を記録したダイジェスト映像に続き、司会の木村祐一と武内由紀子、英語通訳のロバータが登場。
木村は「今年は3回目ということで、いよいよ皆さまに浸透してきまして、各会場を回ると全部がすごい盛り上がりを見せていました」、武内は「私は期間中ほぼ映画館にいて、映画を7本見せていただいた。
会場は満席、年々(動員が)増えていっている感じがありますね」(武内)と、それぞれ4日間を振り返ります。

まずは、主催者である京都国際映画祭実行委員会実行委員長・中村伊知哉さんが登壇。
「皆さん、映画もアートもその他もぜんぶ楽しんでいただけましたでしょうか」と問いかけつつ、「ほんまにぎょうさんの皆さんにご協力、ご参加をいただきました。最後の宴を楽しんでいただき、来年に向けて動き出したいと思います」と挨拶します。

続いて登場した門川大作京都市長は、「来年、この時期にちょうど東アジア文化都市会議があり、日・中・韓・ASEANも含め、文化で国と国との関係をよくしていこう、そんな取り組みも京都中心に行われる。映画もアートも何もかも、大いに日本中を盛り上げる、そういう京都国際映画祭に発展することを祈念します」とエールを。

京都府知事代理・文化スポーツ部理事・雨宮章さんは、「(京都国際映画祭は)京都にいただいた新しい秋の光であることは間違いない」と話し、「オール関西でこの映画祭が世界へ発信できるようになるようお手伝いしていきたい。来年またお会いしたいと思います」と新たな抱負も述べました。

クロージングスペシャルゲストとして、高島礼子さんも壇上へ。
クロージング上映作品『残されし大地』の上映前トークにも参加した高島さんは、「(同作の)ジル・ローラン監督は残念ながら今年3月、ベルギーのテロでお亡くなりになりましたが、生前、京都が大好きとおっしゃっていた。今回、京都国際映画祭で上映されたことを、きっと喜んでくださっていると思う」としみじみ。
さらに「映画だけでなくアートにも光を当てている映画祭。来年、再来年とさらなる発展が期待されていると思います」とコメントしました。

ここでいよいよお待ちかね、三船敏郎賞の発表です。
まずは同賞審査員を務める総合プロデューサーの奥山和由さん、映画評論家の佐藤忠男さん、文筆家・黒澤映画スクリプターの野上照代さん、三船プロダクションプロデューサー・三船力也さんが登壇。
今回、賞の選定にあたり、「三船敏郎賞とは」を活字として残すべく、佐藤さんに執筆を依頼したと明かした奥山さん。
紹介を受け、佐藤さん自らがその一文を読み上げます。
佐藤さんは「三船敏郎は、日本の男の強さと優しさを表現して、世界に知らせた希有の大スターでした。その演技には、独自の工夫で侍の立ち居振る舞いの伝統が取り入れられていて、日本的であることで世界的であることができました」と三船さんの魅力、素晴らしさを讃え、「それらが後々まで受け継がれることを期待して創設された」と説明しました。

審査員を代表し、野上さんから発表された今年の三船敏郎賞受賞者は、阿部寛さん!
ご本人が登場すると、会場はどよめきと歓声、拍手に包まれます。
三船さんからトロフィーを受け取った後は、ギリシャのアーティスト、ミハイル・ギニスさんがデザインした副賞のスカーフを、ギニスさん自身からかけられた阿部さん。
さらに、賞金100万円の目録も贈られます。

受賞スピーチで、開口一番「本当にうれしいです」と喜びを語った阿部さんは、「何本も三船さんの作品を見させていただき、うち2作は映画とドラマでリメイクさせていただいた。今も若い俳優は三船さんの作品を見て、いろんなことを吸収している」と、偉大な先駆者への思いを。
海外の映画祭に参加した際、日本映画が海外で認められることの難しさと世界に出ていくことの大切さを知ったとのことで、「よく外国人の役はやるんですが(笑)、向こうの作品にも携わりたいし、日本の映画もどんどん海外に出していきたい」とも。
最後は「この賞をもらうことは、これからの僕の人生にとってすごくいい経験になりましたし、これをバネにしないわけにはいかないので、これからも映画のために頑張っていきたい」と力強く話しました。

続いて乾杯を。
乾杯の発声は『京都国際映画祭』実行委員会 名誉委員長である中島貞夫さんより執り行いました。
「まずは三船敏郎賞の阿部寛さんに心からお祝いの言葉を申し上げたいと思います。おめでとうございます。そしてまた、選考にあたってくださった佐藤さん、野上さん、三船さん、皆さん、ありがとうございました。『第3回京都国際映画祭』もつつがなく終わろうとしております。これまで3回行い、年ごとに内容も充実し、参加してくださる方の人数も増えました。この映画祭がますます発展することを祈念し、お集まりくださった皆様のご健勝とご発展を祈って、乾杯しようと思います。乾杯」。

歓談時間を経て、各賞の受賞者発表が行われました。
【クリエイターズ・ファクトリー】のエンターテインメント映像部門は奥山さんと審査員を務めた映画史研究家の春日太一さんからご紹介がありました。

「春日さんから今年の作品は群を抜いていたと聞いていましたが、応募した数も多かった。春日さんは2回目・3回目と審査員をし、『3回目できっちりと仕上がった』と言っていましたので、そのご報告をお願いします」と奥山さんから促される中、春日さんがこれまでの開催を振り返りました。
今年はイオンシネマ京都桂川で上映できたことが功を奏したと春日さん。
「今年は客席もソールドアウト、上映施設としても完璧で、きれいな映像でできたので、映画祭のコンペ上映との環境はすごく整ったかなと思いました。論外からなんとかなる状況まで持ち上げたと自負しています」と審査員としての責務を無事、果たされ、ほっと胸をなでおろしている様子。そして、去年に比べて倍近い応募作品があったことにも満足げでした。
「新しい才能を開発して実際に映画を撮って成長させるのはそう簡単なものじゃない。せっかく見つけた作品は大事にして、来年に向けて頑張りましょう」と奥山さんからの鼓舞するコメントに、春日さんも賛同されました。

そして春日さんより受賞者紹介がありました。

受賞者は『落研冒険支部』を監督した飯野歩さんです
「このたびはこんな素晴らしい賞をいただくことができて大変光栄です。先ほどのお話にもありましたが、桂川のシネコンという本当に素晴らしい施設で、自分の作品を大画面、大音響でかけていただいただけでもコンペに出した甲斐があったと思っていたのですが、思わぬプレゼントをいただきまして、これはもう今後もうちょっと頑張って作品を作っていけと言っていただける励みの言葉だと思いました。これからももうちょっとだけ頑張っていきたいと思います。本当にありがとうございました。」と飯野さん、喜びを露わにしました。
『落研冒険支部』のダイジェストVTRの上映もあり、パーティーに参加された方はじっくりとご覧になっていました。

【クリエイターズ・ファクトリー】アート部門/子ども部門は、アートプランナーのおかけんたから紹介がありました。
「アートの方の【クリエイターズ・ファクトリー】の作品は、元・立誠小学校で展示しております。今年は、特に週末に元・立誠小学校には2000人ぐらいののお客様にお越しいただきました。いろんな展示室に常に10人くらい来ていただけいるような状況で、大変嬉しく思っています。子どもの部は約300点の応募がありました。これも去年の倍近い応募となっています。アート部門も100点近くの応募がありまして、去年の倍ぐらいの応募になっています。美術専門誌である『美術手帖』さんに告知をいれていただき、例年よりクオリティの高い作品をたくさん応募いただきました。ここで改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました」とお礼の言葉を述べました。

アート部門の優秀賞は作品名『私はきっと許される』の井口舞子さんで、井口さんはクロージングパーティー欠席のため、VTRでコメントを寄せられました。
「出展できるだけでもすごく驚いたのに優秀賞をいただけるなんて思ってなくて。周りの作品を見てすごいと思って感銘を受けるばっかりで、まさか私がと思って本当驚きで、感謝しかないです。これからも頑張っていきます。ありがとうございました」とご挨拶がありました。
この作品については、「許される」という言葉をなぜ、作品タイトルに取り入れたのか気になったけんたが井口さんにきいたところ、「常に『許される』という意識が自分の中にある」というお答えがあったそう。受賞理由の一つに、審査員から「初々しさ、まぶしさ、若さある故、『許される』という表現力がよかった」というご意見もあったそうです。

子ども部門の優秀賞は、作品名『私の大好物!!』堀江水葵さんです。
堀江さんは11歳の女の子で、けんたが大好物を尋ねると「うな重です」とのお答えが。将来の夢を尋ねると「将来はパティシエになりたいです」とのことでした。

『京都国際映画祭2016』ご関係者の皆様よりご挨拶を頂戴しました。

ドキュメンタリー映画『FAKE』を監督された森達也さんからは、「とても盛況で、このうちのせめて半分でも劇場に来てくれたらなという思いでいますが、動員も今回は去年より随分増えたので、僕は去年も参加しているのでとても嬉しいです。まだ3回目ですから、子どもでいうとまだまだ。僕も成長しますので、一緒に成長してください。今回はありがとうございました」とのお言葉を頂戴しました。

写真家/美術展企画/ライブハウスペパーランド主宰の能勢伊勢雄さんからは「昨年と今年、2年続けて参加させていただいております。本当に光栄に思っております。今年は、実験映画の歴史というものを、自作作品とともにレクチャーさせていただきました。普通はこういう実験映画を歴史として全部捉えていくというようなレクチャーを映画祭の中ですることはほとんどないんです。映画が持っている力そのものをもう1回、見直すことができる可能性があるのではないかというものとして取り入れさせていただきました。こういう内容を実際にプログラムの中に入れてくださるおかけんたさんとはじめとした『京都国際映画祭』の懐の深さに僕は感動しています。映画一本で人生を変える人もいるし、一曲の音楽で人の人生が変わっていく場合もあります。本来の映像の持つ力を少しでもお伝えできたら嬉しいです。ありがとうございました」と熱いメッセージもいただきました。

『京都国際映画祭2016』かけはしガールとして活躍した今くるよと、かけはしボーイとして活躍した清水圭も登壇。
「4日間、トークショーの司会もしました。今年はすごく盛り上がりました。伝道院や元・立誠小学校も行きましたが、会場がすばらしくて。並べてある作品も素晴らしい。どこもたくさんのお客様で、あれがフリーで見られるのはすばらしい。来年もかけはしガールとかけはしボーイで頑張らせていただきます」と清水、ますます気合を入れました。

くるよも「私はイオンモールに出ましたが、たくさんのお客様で、ああよかったな、かけはしとして頑張れたなと思っております。また来年も頑張らせていただきます。なんなと申し付けくださいませ。来年もよろしくお願いします。かけはしガールとボーイでがんばろう!」と清水に呼びかけ、『京都国際映画祭』のさらなる発展に期待を寄せました。

最後は、株式会社きょうのよしもと代表取締役社長・木村深雪が中締めのご挨拶を執り行いました。

「本日はお忙しい中、クロージングに足を運んでくださり誠にありがとうございます。第3回目となる『京都国際映画祭』は、京都内外の皆様と手をつなぎたいということをオープニングセレモニーでお伝えしました。つなげておりましたでしょうか?(拍手)。いつもオープニングパーティーにてご協力いただいた皆様のお名前を読み上げさせていただいております。お礼の気持ちを込めてお顔や企画内容を思い浮かべておりますが、今回は150団体を超えました。今度ますます読み切れないぐらいの京都内外の皆様とご一緒させていただいて、ますます手をつないでいかせていただきたいと思います。どうもありがとうござました」とご挨拶をすると、会場から大きな拍手が起こりました。

司会進行の木村も『京都国際映画祭』の各会場を巡り、気づいたことがあると一言。
「お客様もさることながら、よしもとの社員、スタッフ、その他みんな、若手の芸人も、いろんなところでいろんな人を盛り上げようと丁寧にアテンドしたり、楽しく笑顔をふりまいてくれたことが印象に残り、感動しました。ありがとうござました」と感想を述べました。

10月13日(木)~16日(日)、京都市内19カ所で様々な上映会、企画・イベントが行われた『京都国際映画祭』は、4日間の全期間で約28万人を動員しました。各地で盛り上がりを見せ、大盛況のうちに幕を閉じました。

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