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世界遺産・元離宮二条城で多数のゲストで華やかにオープニングセレモニー開催!牧野省三賞の表彰も行われました!

2016年10月13日(木) レポート

“映画もアートもその他もぜんぶ”をコンセプトに掲げ、京都から世界へ発信する「京都国際映画祭」。
今年は「京都上ル上ル」をテーマに10月13日(木)に開幕しました。

今年で3度目を数えるオープニングセレモニーの場は、同映画祭としては初となる世界遺産・元離宮二条城。
まさしく京都を象徴する場での華やかな開催となりました。
爽やかな秋風が城内を吹き抜けるなか、15時になると祇園甲部の舞妓さん、芸妓さんが登場。拍子木を鳴らしながらレッドカーペットを練り歩いたあと、「ぎをん」の出し物として催されている手打ち「廓の賑」の儀式で艶やかにオープニングを祝いました。

その後は吉本興業の芸人を代表し、落語家・笑福亭仁鶴が挨拶に立ちます。
最初に「今年もこうして開催できることは誠に嬉しく、誠に“ええこっちゃ”と感謝しております」と述べた仁鶴は、「1回目、2回目よりもさらに欲張った映画祭になっている。歴史的、芸術的感性をたたえる京都だからこそ“映画もアートもその他も全部”というこの映画祭を受け入れてくれるのでしょう」と、京都の街をたたえました。そして京都が日本で最初の映画・シネマトグラフが上映された場所であり、日本映画発祥の地であることにふれ「いく久しく続いて京都に根付くことを願ってやみません」と期待を込めた言葉で締めくくりました。

続いて司会が登場。
昨年に引き続き吉本芸人の木村祐一、藤井隆、KBS京都アナウンサーの遠藤奈美さんが務めます。藤井が「今日は晴天ではないけれど…」と少し残念そうに木村に話題をふると、木村は「きっと、京都が空を映画のスクリーンに見立ててくれたのではないでしょうか」と絶妙なコメントで返し、会場を沸かせました。

そして同映画祭の名誉実行委員長の中島貞夫監督が登壇。
「本日はたくさんの方々がオープニングセレモニーに参加くださり、感謝しています」とまずは来場者に感謝の言葉を述べました。「映画祭も今年で3歳。京都は映画のふるさとなら、劇映画が造られたのも京都。以来、京都は映画ファンにとっても忘れることのできない名作が造られてきた大切な場所です。そんな場所で、アートの総合芸術とも言える映画を皆さんに存分に楽しんでいただきたい」と、この映画に込めた思いを語りました。
最後は毎年恒例となった開会のフレーズ「第3回京都国際映画祭、ヨーイスタート!」を高らかに宣言しました。

次に主催者、実行委員長の中村伊知哉さん、総合プロデューサーの奥山和由さん、アート部門のアートプランナー、おかけんたそれぞれが壇上で挨拶しました。

中村さんは、同映画祭を「ただの映画祭ではなく、映画もアートもその他も全部のお祭り」と表現し、京都の街全部が舞台だと紹介。世界遺産はもとより、博物館、デパート、お寺などあらゆるランドマークを駆使して催すとのこと。そして「今回のテーマは“京都上ル上ル”です。みんなで京都を“上げて上げて”いきましょう!」と会場を盛り上げました。

総合プロデューサーの奥山さんは「映画祭と名のつくものの共通点は、才能の発掘。でも一番大切なことは楽しむこと」と、映画祭をシンプルに楽しんで欲しいと語りました。また映画の巨匠・フェリーニの名画『8 1/2』のラストシーンのセリフ“人生は祭りだ、ともに楽しもう”というフレーズになぞらえて「せっかくの映画祭です。せっかくの祭りです。せっかくの京都です。天気に恵まれたせっかくの幸運を楽しんでいただきたい。皆さん、一緒に楽しみましょう!」とコメントしました。

続いてアート部門でアートディレクターを務めるおかけんたは「アートでは実験映画として“外国映画がどのように作られているか”をテーマに道具を用意する、といった、楽しみながら体験できる企画を用意しています」とディレクターらしく企画の一部を紹介しました。そして「ワイワイガヤガヤとした楽屋に反して、ピリッと緊張するステージ、というような“緊張と緩和”の相反する要素から映画が造られている」と、おか独特の視点で映画を表現しつつ、「京都という大きな器のなかで、たわむれるように、この映画祭に参加したいと思います。4日間頑張ります!」と熱い思いを語りました。

続いて、「京都国際映画祭2016」オープニングセレモニー共催、門川大作京都市長からご挨拶。
まず「世界遺産である元離宮二条城を、こういう場に使っていただけることを大変うれしく、喜んでおります。徳川家康も喜んでおると思います」と想いを馳せます。また、二条城西南櫓の一帯は、かつて京都で初めての映画撮影所とされる「二条城撮影所」があったことから、「記念碑がありますのでお時間がありましたらぜひ」と案内も。そんな元離宮二条城は、現在、400年ぶりの大改修中。「元離宮二条城を未来へしっかりと残していく、そのためには生かしていくことが大切です」とも語りました。また、開催期間中、京都市役所前広場に展示されている永井英夫『B-PROJECT“へそで投げろ”』を挙げ、「御池通から見るとものすごい迫力です!」とアピールしました。さらに今年10月19日(水)から京都でスタートする「スポーツ・文化・ワールドフォーラム」にも触れ、京都から全国、世界へと文化を発信する催しが続くことを語り、「文化で京都が盛り上がり、文化で日本が盛り上がり、文化で世界中から尊敬される。そんや役目を果たしてゆきたいです」と語りました。

木村も「京都市役所前広場、ぜひ行ってみてください! ジャイアント馬場が車をバックドロップしている像があるんです。立派ですのでぜひご覧いただきたいです」とPR。

続いて、ご来賓の皆様からのご挨拶です。山田啓二京都府知事は公務のため欠席ととのことで、文化スポーツ部長の森下徹様よりご挨拶がありました。森下様は「京都国際映画祭2016」の開催を心待ちにしていたと語り、その中でも
京都市役所前広場に展示されているアートユニット・Yottaによる『金時 kintoki』が楽しみとのこと。「焼き芋のデコレーションカー、どんなものなのかなとワクワクしています。また、芋は京都を代表する丹後産の“まいこ金時”を使っていただけるとのことで、どれほど楽しい焼き芋ができるのかと楽しみです」とにっこり。また、山田京都府知事からの祝辞を代読。「日本の映画文化をリードしてきた京都のポテンシャルを発揮して、映画コンテンツ産業、地域の活性化を図り、関係機関とともに連携を図りたいと思います。世界の注目が集まる2020年、文化都市・京都を目指して、皆様のご支援を宜しくお願いします」と協力を呼びかけました。
藤井は「“まいこ金時”の焼き芋、楽しみですよね。ぜひ試食したいものです」と感想を。

内閣総理大臣・安倍晋三氏をはじめとする方々からの祝電披露の後、作品紹介へ。
映画作品、アート作品、連携映画祭など関係者の皆様がその場で起立し、来場者の皆さんにご挨拶。会場は大きな拍手に包まれました。

「京都国際映画2016」アンバサダーに就任された名取裕子様よりご挨拶がありました。
木村がまず、名取さんに京都の印象を尋ねると、「私にとっては第二の故郷ですね。日本を代表する美しい都。大好きな京都から映画を発信できるお手伝いができて光栄です」とのお答えが。京都で好きな場所は商店街だそうです。
そして京都国際映画祭について尋ねると「京都って特別なところで、『京都国際映画祭』も今まで見たことのない作品がたくさん見られます。京都は街全部、どこを映しても絵になります。映画人がたくさんいるところなので、ぜひ京都から世界にいろんな作品を発信したり、人を育てたり、ここでいろんな人と出会えたら素晴らしいと思います」と期待を寄せられました。

日本映画の父と呼ばれる京都の映画人、牧野省三監督の遺徳を偲び、日本映画の発展に寄与した後進映画人を表彰する「牧野省三賞」。
プレゼンターは牧野監督のお孫さんに当たる俳優の津川雅彦さんが務めました。

表彰式を前に津川さんは、「牧野省三賞は今年で第48回になります。この長い映画の歴史の中で映画が斜陽と言われて久しいわけでございます。テレビが氾濫し、今やサラリーマンが演出をしてドラマを撮るという時代になりました。どんどん素人化していく中で、牧野省三賞は撮影現場で映画を愛し、生涯を映画に投じたスタッフの皆様に功労として差し上げる賞です。ぜひ、今回もどなたが受賞されるかご期待ください」とのご挨拶の後、津川さんが発表されました。

第48回・「京都国際映画祭2016」の牧野省三賞は映画監督の篠田正浩様が受賞されました。

ステージには篠田さんの姿が。
授賞式でははじめにトロフィーが贈呈されました。このトロフィーは、京都の陶芸家・美術家の近藤高弘さんがデザインされたものです。
そして篠田さんと津川さんが舞台上で堅く握手をされました。

そして牧野省三賞審査員の上倉庸敬(大阪大学名誉教授)さんより受賞理由をメッセージでいただきました。
木村が代読し、監督作品のみならず、武満徹さんをはじめとする映画以外のジャンルにおいて豊かな才能を創造し、現代美術を活性化するとともに、日本の文化全体の向上に尽くしたと篠田さんの功績を称えられるメッセージが紹介されました。

そして、お祝いゲストに長塚京三さんが来場され、花束が贈呈されました。
長塚さんは、「今日は本当に久しぶりに篠田監督の素晴らしい笑顔を拝見したいと思い、この役割を買って出ました。監督の笑顔はご覧のとおり大変素敵なのですが、僕はこの監督の笑顔から何よりも上機嫌であることがすべての営みの根源であるということを教わったような気がします。この笑顔は、かなり複雑で、しかし、なかなか革新的な、それゆえに美しい笑顔だと思います。今日は目的を達することができました。僕の方からお礼を言いたいと思います。ありがとうございました。願わくばこれからも健康に留意されて、遠くから近くからその笑顔でもって私たち後輩に生きる勇気を与えてください」とお祝いのお言葉を寄せられました。

そして受賞者スピーチで篠田様がお気持ちを述べられました。
「1964年だったと思いますが、京都市民映画祭で『暗殺』を受賞いたしました。私が映画界に入って一番最初にいただいたのが京都市民映画祭の受賞でした。そして今、85歳になりました。もう現役を引退して執筆の仕事に終始しておりますが、映画のことをひと時も忘れたことがありません。私の生涯で賞をいただくのは今日が最後になると思います。最初にして最後が全部京都、京都にこんなにご縁があり、私も幸運に恵まれたことを喜ばしく思います。長塚さんから温かい言葉をいただいたり、私の作品に対し審査員の評価は大変過分です。映画はその時代の新しい人の運命にかかっていると思います。若い人は頑張ってください。今日はありがとうございました」と笑顔でご挨拶されました。そして篠田様を囲んでの記念撮影が行われました。

続いて株式会社きょうのよしもと代表取締役社長・木村深雪が「京都内外の皆様と手をつないで映画祭をともに盛り上げていただきたいと始めさせていただき、3回目と若輩者ではありますが、二条城でセレモニーを開催させていただくことになりました。京都の皆様と共に映画祭を盛り上げていきたいと思います」とご挨拶。そして映画祭の架け橋の役割を担っていただく二人を紹介したいと、今くるよ、清水圭を呼び込みました。

登壇したくるよは「架け橋ガールと架け橋ボーイ。嬉しいね」と笑顔です。そして「どやさ〜!」と挨拶し、「私の仕事は、みなさんに何でも言っていただいて、一生懸命何でも解決していきたいと思います!」と意気込みを語りました。清水も「京都は日本はもとより世界中から人が来るのに、また映画祭を大規模にやろうというチャレンジ精神、攻めていこう、面白いことをやっていこうという雰囲気がいいです! 近い将来、『そろそろ映画祭の時期やな』ってご近所のお母さん方に言ってもらえるようになったらいいと思います」と今後の展望も語りました。

最後にMCから一言あり、「ベテランから学生までクリエイターがお越しくださって、ものすごいことになりそうで楽しみです。中島監督の『スタート』の掛け声から始まりましたから、今から各シーン、いろんな『カット!』が繰り広げられると思います。最終日までカメラが回りっぱなしなので、いろんなところで楽しんでほしいと思います」と木村。そんな木村のコメントを受けて藤井が「編集が大変かもしれませんね!」と一言。遠藤アナウンサーからも「いろんな会場であるので、最後まで楽しんでほしいと思います」とのメッセージがありました。そして「歴史ある場所でセレモニーをやらせてもらって光栄でした。京都の皆様にご協力いただき、なんとか成功させたいと思います。どうぞよろしくお願いします」と藤井の挨拶でオープニングセレモニーを終えました。

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