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ガラス窓がキャンパスに! 京都伝統産業ふれあい館で「中島麦『コチラとムコウ in ふれあい館』ワークショップ」開催

2016年10月10日(月) レポート

今年3回目を迎える「京都国際映画祭」。過去2回も京都の様々な場所で映画、アートの上映、展示が行われてきましたが、今年新たに開催場所となったのが、伝統産業ふれあい館です。10月10日(月・祝)には、映画祭の先行企画として、中島麦氏のワークショップが開かれました。中島氏は、絵を描くことを中心に、そこから拡張する出来事を取り込みながら様々な活動を行うアーティスト。今回は、会場を取り囲む大きな窓ガラスを使い、子どもたちと一緒にガラスの向こうに見える景色を特殊なマーカーで描くという内容です。

会場にはスチ子と渡辺直美の着ぐるみも応援にかけつけました。受付を済ませた参加者は、全員が自分の名前を書いたシールを名札代わりに貼り付け、開演を待ちます。12:00ジャスト、中島氏の挨拶からイベントがスタート。すぐ横にある大きな窓を使ってワークショップを行うことを説明したあと、スチ子と渡辺直美の紹介では、参加者からは大きな拍手が起こりました。

中島氏は、自己紹介としてこれまでの制作風景や作品、ジャンプしての作品との記念撮影などをスライドで紹介、普段はアクリル絵の具やハケで絵を描いていることなどを話します。そして、絵の具を使う仕事ともうひとつ、窓に絵を描くということも行っていると中島氏。窓に描くということはそこの場所でしかできない、そこで見たものしか描けないと説明。さらに2年ほど前、窓に作品を描いたときの記録映像を流し、「コチラとムコウ」というタイトルで絵を描いたことを話します。

今日のイベントも「コチラとムコウ」というタイトル。向こう側にあるものをこちらの窓に描く、というワークショップであることを改めて話し、今日の画材についても説明。全員が手に取り、興味深そうに眺めています。ここで、中島氏が実際に窓へ描いてみることに。周りに子どもたちが集まります。「窓の向こうに何が見えてる?」と子どもたちに尋ねる中島氏。窓の外に見えている壺を描き始めます。向こう側に見えているものをゆっくりよく見ながら写し取ってほしい、今日は思い切り手を動かして描いてほしいと、と話します。

そして、全員が窓へと移動。おそるおそる描き始めます。「見えているものをなぞってくださ〜い」と中島氏からアドバイスが。ちょっとぐらいブレでもいい、失敗はないから消さなくていいよと話しながら、子どもたちを見回る中島氏。「片方の目で見て描いてもいいんですか?」「これって消せるの?」などの質問も飛び出し、どんどん盛り上がっていく参加者のみなさん。「いいですね!」と中島氏も楽しんでいます。

最初は遠慮がちだった子どもたちもすぐに慣れ、ガラスに向かって真剣に向こうの景色を描いていきます。たまたま通りかかった人たちも写し取ろうとするなど、すっかり絵を描くことに夢中。みんなキラキラとした目で、見えているものを一生懸命ガラスに描いていきます。最後は向こうに現れたスチ子を描き、前半が終了しました。

5分ほど休憩を挟んだあと、場所を移動。さっきまで見えていた向こう側に行き、新たなガラスにペンを走らせます。それぞれに目線の高さ、角度が違うことに加え、見ている場所が少しずれるだけで、向こう側の景色は全く違うものに。子ども、大人の関係なく、見えているものを写し取ろうと一生懸命に手を動かしていきます。ガラス越しに降り注ぐ秋の日差しは暑いほど。時々休憩を入れながら、それぞれが自分の作品を完成させていきます。ガラスに写る自分を描く、ペンで描いた絵を指でこするなど、新しい楽しみを見つける子どもたち。「見えているものなら何を描いてもOK!」と中島氏もエールを送ります。

すると、ガラスの外側に突然水が! 歓声を上げる参加者たち。中島氏も「今まで見えていた風景に水を描いてください!」「キラキラを描いてみて!」と全員に声をかけます。輝く水の様子を写し取ろうと、また懸命に手を動かす参加者たち。

アートプランナーのおかけんたも顔を出し、流れる水を見て「キレイやな〜」と感心した様子。そしてみんなが描いた作品については「水が流れて光が当たると、描いた線がきらめくんですよ」と話し、さらに「水が流れることで描くスピードも早くなる、子どもたちの絵はおもしろい」と笑顔でした。そして、完成の印として、全員が自分の作品にサイン。最後は一人ずつが描いた絵をみんなで見て周り、楽しかったところなどを思い思いに話し合いました。

参加者全員でいっしょに盛り上がった今回のワークショップ。中島氏も「楽しかった!」と満足気な様子。水が流れるサプライズについては、今まで見ていた景色に水が流れて(みんなが)ワーッとなる、その場でしか起きないことが起きるというのが自分のワークショップの一番いいところですから、とニッコリ。想像して絵を描くことももちろんですが、見えているものを見て、感じることが本当に大切なんです、と話してくれました。

今回のワークショップで描かれた作品は、10月31日(月)まで展示されています。さらに、京都国際映画祭会期中の10月15日(土)・16日(日)には、日本が、そして京都が誇る伝統や芸術を、広く海外や次世代を担う子どもたちに伝えたいという思いから、職人やアーティストと直に触れ合えるワークショップも実施。見て、触れて、感じる、内容充実のワークショップに、ぜひ足をお運びください!

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京都伝統産業ふれあい館で展示されるアート作品、およびイベント・ワークショップの詳細はこちら
http://2016.kiff.kyoto.jp/art/art_dento.php

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