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芸人・テントの秘話に特別上映も!映画『かぞくのひけつ』トーク座談会

2016年10月15日(土) レポート

映画祭3日目は元・立誠小学校での立誠シネマプロジェクト『かぞくのひけつ』にて、監督の小林聖太郎さんが登場しトーク座談会が行われました。
司会はよしもと芸人のケツカッチン・高山トモヒロが務めました。
今回は出演者であり、登壇予定だった芸人のテントが、去る9月27日に死去したため、当初の予定を変更しての座談会となりました。

同作品は2006年に上映された小林監督の処女作。
大阪・十三の商店街を舞台に、女癖の悪い父親と嫉妬深い母の家庭問題に加え、恋人との関係もうまくいかない高校生の心の成長を描いた人情喜劇です。

監督は今回の上映が大変恥ずかしかったようで「久しぶりに(自分の作品を)見たら当時を思い出す部分もあって、ちょっと直視できないですね」と照れ臭そうな様子を見せていました。

撮影時のエピソードを尋ねられると「当時は撮影期間が短かったので、妥協したことがたくさんありますね」と懐かしそうに振り返った監督。
例えば、撮影していると通りがかるおばちゃんたちにひっきりなしに声をかけられていたそう。最初は一人残らず追い返していたものの、キリがないことに気が付き「夫婦喧嘩を遠巻きに見られていると思って、もうええか、って」と見てみぬふりをしたことを打ち明けていました。

また映画を造ることになった理由は、十三の映画館・第七藝術劇場の経営者と知り合いだったことがきっかけ、と監督。
「十三を舞台にした高校生の物語を1000万円で作れと言われても……難しいなあと思いながら脚本を書いたんです」とまんざらでもなかった様子でした。

そんな作品にテントが出演したワケは脚本の変更によるものだったとか。
最初は“ビンラディンが十三に潜んでいる”という設定だったものの、企画を進めていくうちに素案が消えてなくなり、困り果てて藁をもつかむ思いで出演を依頼したのだそう。
彼の出演から幸運をもらった(?)のか、監督は本作品で2006年度日本映画監督協会新人賞を、第2回おおさかシネマフェスティバルでは新人監督賞を受賞。ゲン担ぎの意味を込めて、2作目以降も出演を御願いしたことを打ち明けていました。

監督はテントと撮影前から知り合いで「今もいなくなった気がしない。ずっと変わらない人だった」と生前のテントを懐かしみました。
ちょうど本作が東京で公開した折にはテントも上京してくれたとのことですが「一人だと何もできない人だったから、僕がずっとアテンドしていました」という思いがけない苦労話も。さらにはテントがそばアレルギーであることを知らず、本人の快諾で入った居酒屋で、そばのおつまみを食べてアレルギーを起こしてしまって大変だった、というドタバタエピソードには観客も驚いた様子でした。

トーク終盤では10年前に上京したテントが、舞台挨拶で歌をうたった様子を収めた記録映像を特別に上映。
「この歌は、トロピカルに歌いたい。よろしく」「そんなんでね、どんなんや、そんなんですよ、どんなんや、そんなんですよ」といったお決まりのフレーズを繰り出しながら淡々と歌うテントと、その姿を見つめる会場の様子や、「テントさんとは映画を見たら会える」と語った監督が印象的でした。

来年2017年1月28日からは小林監督の最新作『破門 ふたりの疫病神』が全国公開。
テントもどこかに出ているとのことで、こちらもお楽しみに!

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