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日本映画の誇る映画界の巨匠・小津安二郎の名作を2作一挙に上映!

2016年10月15日(土) レポート

10月15日(土)、よしもと祇園花月で、小津安二郎特集として「突貫小僧」「淑女と髯」が上映されました。
小津監督が若き日に手がけた「突貫小僧」は、モダンなサイレント喜劇の傑作。最良版が発見され、今回が世界初上映となります。ナンセンスコメディの代表作「淑女と髯」も、そのライブ感に期待が高まるところ。

まず司会の清水圭が登場。早速、活動写真弁士の片岡一郎さん、サイレント映画ピアニストの柳下美恵さんのお二人を紹介します。
片岡さんは、高校時代演劇部に所属。落語や講談などに興味を持ち、今に至る、とプロフィールを説明。サイレント映画の魅力について、映画、音楽、演技がなんでもこの中にあること、とアピール。
柳下さんは映画が好きで、見ているうちにサイレント映画にたどり着いた、と語りました。

そして、最初に上映される突貫小僧について。
片岡さんは「目玉ですね」と力説。このたび、最良版が見つかったということで、今回はワールドプレミアとなることを説明します。
さらに「小津監督はサイレントの時代から巨匠だった」と片岡さん。みなさんが東京物語などから感じているのとはちょっと違うテイストと思う、と自論を述べました。

早速上映ということで、舞台向かって左手に片岡さん、右手に柳下さんがスタンバイ。作品がスタートします。
フィルムが始まると、流れ始める軽快なピアノのメロディ。スクリーンに映し出される映像に合わせて聞こえてくる生き生きとした声。映像、セリフ、音楽が三位一体となって作り上げる世界に、観客はみるみる引き込まれていきます。

片岡さんは、大人も子どもも、男も女も、自在に語り分ける卓越したテクニックを披露。
そして、柳下さんのピアノが映像とドンピシャのタイミングで、素晴らしいメロディを奏でます。約20分の上映時間は、あっという間に終了しました。

「やっぱり臨場感がありますね!」と、感心した様子の清水。
作中で使ったある童謡のメロディについて尋ねられた柳下さんは「わかりやすい方がいいかなと思って」と答え、何度か見ているうちに発見もあったと話します。この作品の主役は子どもですが、片岡さん、柳下さんともにご本人に会ったことがあるそうですが、「会ったときには80歳くらいだった」とのこと。
ほかにも、この作品は4日間で撮られたというエピソードなどが話されました。

続いての「淑女と髯」は、1931年の作品。
約70分という大作ですが、「長い映画のときはところどころ休んでいる」と片岡さん。
柳下さんは「ポイントは決めているものの、(メロディなどは)いろいろ変わります」と話し、上映がスタートします。

こちらも「突貫小僧」と同様に、片岡さんの声、柳下さんのピアノ、映像が見事なコラボを見せてくれました。
小津監督のナンセンスコメディの代表作とされる今作。
「ヒゲ」をたくわえた主人公・岡嶋と女性たちとのストーリーは、80年以上前の作品とは思えないもの。男女の恋、笑いの間など、全く古さを感じさせません。

上映が終わり、「シャレてますでしょう?」と片岡さん。清水も素敵な映画でした、と絶賛。会場は拍手に包まれました。
そして、16日(日)11時30分から大江能楽堂で行われる「ショート・コメディ傑作選」についても、ワールドプレミアであることやチャレンジ弁士として月亭太遊が弁士デビューすることなどを告知。小津安二郎特集は幕を下ろしました。

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